猫の尿検査で引っかかって初めて、「ストルバイト」という言葉を知った飼い主さんも多いかと思います。
私の愛猫そよちゃんもある日、トイレの異変から尿検査を受け、「ストルバイト結晶」という診断を受けました。
そして5年後の再発をきっかけに、徹底的に調べました。
本記事では、私の実体験も交えながら、ストルバイトの原因・症状・治療・予防法について詳しく解説します。

猫のストルバイト結石症とは?原因と特徴を解説
どんな病気??
ストルバイト結石症とは、尿に結晶や結石ができる病気です。
猫のストルバイト結石症は、猫下部尿路疾患(FLUTD)の7~22%を占めると報告されています。
- 尿に含まれるミネラル成分が結晶化したもの
→ストルバイト結晶 - 結晶が集まって結石になる状態
→ストルバイト結石
結晶が石になると、膀胱や尿道を傷つけ、排尿困難や血尿の原因になり、放置していると命に関わります。
- 尿道閉塞
石が詰まっておしっこが出せない状態 - 尿毒症
おしっこが出にくくなり腎機能に負担を与える
なぜ発生するの??
実は厄介なことに、ストルバイト結石症のはっきりとした原因はわかってないみたいですが、
- 高ミネラルな食事
- 水分不足
- ストレス
- 体質
などが考えられています。
また、男の子に多く、特に肥満気味の猫は要注意とされています。
猫のストルバイト結石症の症状とは?
ストルバイト結晶・結石の症状は以下の通り。
- 頻繁にトイレに行く
- いつもとおしっこの色が違う
- トイレに行くがおしっこが出ていない
- おしっこの量が少ない
- トイレでじっとして動かない
- おしっこの時に鳴く
- おしっこに血が混じっている
ひとつでも症状があるなら尿検査は絶対にしてあげてくださいね。
悪化する前に治療しないと危険です。
実際にうちのそよちゃんに起きた症状は、1回目は全部。
2回目は、おしっこの管理をしてくれるねこちゃんのカメラ付きスマートトイレを使っていたので、おしっこの回数と量の異変で気付きました。

一度でもストルバイトになった事がある猫さんは、再発の可能性があるので、完治した後に症状がなくても定期的に尿検査することをオススメします。
ストルバイト結石症の治療法とは?
「ストルバイト結晶=病気」と思われがちですが、実はストルバイト結晶の時点(結石がない)では症状がなければ特に治療は必要ないという獣医さんもいます。
というのも、結晶の場合顕微鏡でしか確認できない大きさで、おしっこと一緒に外に出ますし、健康な猫の70%以上に結晶があったという報告もあるからです。
それに、簡単な治療法のひとつである「療法食」は総合栄養食に比べ、栄養が偏っていますからね。
ですが結石の場合は尿道や尿路に詰まったり排尿困難になったりしちゃうので、ちゃんと治療しないと命に関わることも。
つまり、結晶が見つかっても症状や結石があるかないかで、緊急性や、今何をすべきかが変わるという訳です。
病院での対応
まずは尿検査をしてもらい、「結晶の有無」や「尿のpH検査」を行います。
結晶が見つかり、尿のpHがアルカリ性に傾いている時点で「ストルバイト」と診断されますが、症状や性別によっては、結石の有無・場所を確認するための超音波検査をすることも。
血尿が出ている場合は止血剤、膀胱炎も併発している場合は抗生物質が処方されます。
また、
- 猫さんの状態が悪い
- 石が危険な場所に結石がある
- 結石が大きい、結石が多い
など、急いで石を取らないと危険な場合は手術になります。
療法食への切り替え
ストルバイト結晶の治療は主に食事療法で、獣医さんの指示に従って療法食で結晶や石を溶かします。
栄養成分の量や配合されてる比率が調整されている、病気の治療を目的に作られたキャットフードのことです。
ストルバイトの療法食には
- 低リン
- 低マグネシウム
- 尿の酸性化
といった特徴があり、結晶や結石を溶かす効果があるので、基本的には療法食を食べるだけで治せます。
治療にかかる費用の相場
ストルバイト治療にかかる平均的な治療費は以下の通り。
- 診察・検査費用:5,000~8,000円
- 処方薬代:1,000~3,000円
- 療法食:月当たり5,000円程度
症状が落ち着くまでは約2~3週間かかり、その後も再発予防のため、療法食は大体2~3カ月継続するのが理想的。
うちのそよちゃんの場合、療法食を与えた期間は1ヵ月ほどでしたが、フード切り替え期間を含めると2ヵ月近くかかっています。
ストルバイトの療法食について
オススメの療法食
ストルバイト結晶の療法食は何種類も販売されてますが、私が獣医さんに勧められたのは以下の2つ。
調べたところ他にも、
などもあるので、どれにしたらいいかわからないって方は獣医さんに相談してみてください。
ちなみにですが、そよちゃんにはロイヤルカナンの療法食を食べてもらい、約1ヶ月ほどで治りました。
療法食への移行は徐々に
「重症化する前に早く治したい!」って気持ちはめちゃくちゃわかりますが、療法食も普通のフードの移行と同じく、ちょっとずつです。
一気に変えると嘔吐や下痢になっちゃいますから、「いつものフード:療法食」を「9:1」から始め、7日〜10日間かけて移行してあげてくださいね。
療法食を続けるリスク
「ストルバイトが治った後も療法食を食べさせ続けるかどうか?」については、獣医さんによって意見が違います。
私がお世話になってる獣医さんは、「治ったらまた元のフードに戻した方がいい派」。
というのも、ストルバイト結石の療法食は石を溶かすために作られているので、簡単に言うと栄養バランスは良くないんだそうです。
それに、やはり猫の体と健康を考えた最適な栄養バランス基準をクリアしているのは「総合栄養食」ですから、治ったあとも療法食を食べ続けるのは理想的ではないかも知れません。

戻す時もフードの移行はちょっとずつ、時間をかけてください。
予防のために療法食をあげていいのか?
結論から言うと、健康な猫さんに療法食を食べさせても予防にはなりません。
ストルバイト用の療法食は石を溶かすために作られているので、予防目的で与えるものではないのです。
また、お水をたくさん飲むように塩分も少し多めに配合されているため、健康な猫さんには与えないようにしましょう。
再発させないための5つの予防法
ストルバイトは尿のpHがアルカリ性に傾くことで発生するため、pHを弱酸性に保つことがカギとなります。

尿のアルカリ化は細菌も発生しやすく、膀胱炎になる確率も上がるそうですよ。
①水分摂取量の徹底管理
ストルバイトの主な原因は、「濃縮された尿」です。
水分が不足すると尿が濃くなり、結晶ができやすくなります。
②運動量や適正体重の維持
運動不足や肥満は、尿石症のリスク因子。
太ることで運動量が減ると、水を飲む量やトイレに行く回数も減少しやすくなります。
運動には尿pHを酸性寄りに傾ける効果も。
一気食いした時や満腹時はアルカリ性に傾くので、運動で酸性寄りの戻すことが大事です。
③食事管理を徹底する
尿pHのアルカリ化は、食事内容によっても変化します。
また、おやつに関しては『猫のおやつは体に悪いのか?』で詳しく書いていますが、あげすぎるとミネラルバランスが崩れストルバイト結晶の原因となる可能性も。
おやつをあげたい方は、腎と膀胱に不安がある猫でも安心な「neco-ri(ねこり)」がおすすめです。
④ストレスの少ない生活環境を整える
ストレスは自律神経を乱し、排尿機能や免疫力を低下させます。
特に神経質な猫では「突発性膀胱炎」がストルバイト結石症と併発することも。
⑤清潔で快適なトイレ環境を保つ
猫はトイレが不快だと排尿を我慢します。
これが尿を停滞させ濃縮を招き、結晶の原因に。
また、トイレが不潔なせいでおしっこの中に菌が増えると、膀胱に炎症ができてストルバイト結晶を作りやすい尿環境になってしまいます。
おしっこを我慢させないためにも、トイレ不満サインがないか普段からトイレの様子も気にしてあげてくださいね。

システムトイレは猫から不人気なので、使っている方は要チェックです。

https://ottanmental.blog/systemtoilet03/cats-live/
よくある質問
- Qストルバイト結石症は完治する病気?
- A
正しい治療と予防をすれば完治することは可能です。
ただし、再発率が高い病気でもあるため、治療後の管理や検査が重要。油断は禁物です。
- Qオス猫とメス猫でストルバイトのなりやすさに違いはある?
- A
はい。男の子の方がストルバイト結石によるトラブルが深刻になりやすい傾向があります。
理由は、男の子は尿道が長く細いため、結晶や結石が詰まりやすく、尿閉(オシッコが出ない状態)になりやすいからです。
一方、女の子もストルバイトにはなりますが、尿道が太く短いため、比較的排出されやすく、重症化しにくいとされています。そのため、特に男の子の場合は早期発見と予防が重要になります。
- Qストルバイトの治療中でもおやつをあげていいの?
- A
基本的には獣医さんの許可がない限り、おやつは控えるのがベストです。
市販のおやつにはマグネシウムやリンが多く含まれていることがあり、治療や再発予防の妨げとなる事があります。ただし、療法食に対応した低マグネシウム・低リンのおやつや、獣医さんが認めた製品であれば、ごく少量なら大丈夫。
与える前に、必ず成分表示を確認し、かかりつけの獣医さんに相談してください。まいまい私は不安なので、治療後もおやつにこだわっています。詳しく知りたい方はneco-ri公式サイト
またはねこりレビュー記事をチェックしてね。
トイレ中の様子がいつでもどこでも見れて、おしっこのデータが残るトレッタキャッツなら、小さな異変にもすぐに気付けて便利ですよ。
ストルバイト結晶・結石の再発を繰り返す場合
ここまで紹介した対策をしても再発を繰り返す場合、以下二つのことが原因である可能性が高いです。

信頼性の高い獣医学文献とデータを元に、わかりやすくまとめてみました。
細菌を撃退しきれていない
抗生物質が効かない菌が残っている可能性があるので、ちゃんと残ってる菌が何かを調べ(尿培養)、その菌に効く薬を使わないと完治はしません。
獣医さんに尿培養検査をお願いして憎き菌を撃退してあげましょう。
元々の体質や遺伝
【まとめ】猫の尿トラブルは早めの対応がとても大切です
猫はとても我慢強い生き物なので、おしっこに関するトラブルがあってもなかなか気づきにくいことがあります。
「トイレに何度も行く」、「おしっこが少ししか出ない」、「トイレ以外でおしっこをする」など、いつもと違う様子が見られたら注意が必要。
特にストルバイト結石などの尿トラブルは、放っておくと重症化することもあり、命に関わるケースもあります。
少しでもおかしいなと思ったら、早めに動物病院で診てもらうようにしてくださいね。
心配な方には、おしっこの管理を自動でしてくれるねこちゃんのスマートトイレ「トレッタ」がおすすめ。
初期費用、月額利用料がかかりますが、実際に私はトレッタのおかげで早期発見できたので、ぜひ一度検討してみてください。
ずっと健康で長生きしてもらうためにも、お互いに頑張りましょうね。
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