「猫が壁や家具で爪を研いでしまい、家がボロボロに・・・」と悩んでいる飼い主さんも多いんじゃないでしょうか??
猫の爪とぎは本能的なものであり、完全にやめさせることは難しいものです。
しかし、猫の習性を理解し、適切な対策をすれば、家を守りながら愛猫のストレスを減らすことが可能。
この記事では、猫の気持ちを最優先に考えた爪とぎ対策を5つ紹介します。

叱っても無駄だよ。
なぜ猫は爪を研ぐのか?その理由と本能
「猫の爪とぎ」について、獣医学や行動学の専門家の知見を基に、わかりやすく解説します。
爪とぎの主な目的と猫の習性
猫の爪とぎは、以下のような「猫の本能」によるものです。
- 爪のメンテナンス
猫にとって爪は、狩りの時に必要な武器です。爪を研ぐことで、外側の古い層をはがし、新しい鋭い爪が現れるのです。 - マーキング(縄張りの主張)
猫は爪とぎを通して、目に見える爪痕や足裏から分泌されるフェロモンで、他の猫に自分の存在を知らせます。 - 気分転換やストレス発散
猫は寝起きや興奮した時、ストレスを感じた時に爪を研ぎ、気分をリセットします。 - 飼い主へのアピール
飼い主にかまって欲しくて、注意をひくために特定の場所で爪研ぎをすることがあります。
爪とぎが猫にとって重要な理由
猫にとって爪とぎは、以下のような重要な役割を果たしています。
- 健康維持
爪を研いで古い爪の層を除去し、新しい鋭い爪を維持することは、怪我の予防や運動能力の維持に繋がります。 - 心の安定
爪とぎは、猫が安心を得るための行動でもあります。特定の場所で繰り返し行うことで、その場所を「安全」と認識します。 - 社会的コミュニケーション
爪とぎによるマーキングは、他の猫とのコミュニケーション手段でもあり、社会的な関係を築く一つの手段となります。
以上の事から、猫に爪とぎを無理矢理やめさせてしまうとストレスとなり、かえって悪化する可能性も。
私たち飼い主は「猫が爪を研ぐのは仕方ないこと」としっかり理解した上で、正しく対処する必要があるのです。
家を守るための猫の爪とぎ対策5選
①各部屋に最低でも1つの爪とぎを設置する
猫の爪とぎは本能ですから、「よし、爪を研ごう」と思ってわざわざ研ぎに行くものではありません。
目の前にとげるものがあるなら、そこで研いじゃうのが猫です。

研ぎたい時に研ぎたい。
なので、いつでも研げるように最低でも各部屋に1個は爪とぎを置いてみてください。
そうすると、猫だって研ぎやすいもので研ぐようになるので、わざわざ研ぎにくい壁では研がなくなっていきます。

多ければ多いほど効果的。
②爪とぎ付きのキャットタワーを活用する
猫が爪とぎをするタイミングは、
- 寝起き
- 狩りをする前
- 気分転換
と大体決まってます。
その習性を考えると、寝たり興奮したりする時に使う、キャットタワーの爪とぎは必須。

爪とぎがないタイプのキャットタワーの場合、後付けできる爪とぎマットがあるので是非活用してみてください。
③毎日猫と遊んでストレスを解消してあげる
猫は寝ている時間にたまったエネルギーを狩りで発散するので、飼い主さんが遊んであげないとエネルギーが爆発しちゃいます。
その爆発が「夜中の運動会」だったり「爪とぎ」だったりするので、要はしっかり遊べば(狩りが出来れば)必要以上にガリガリしなくなります。
そもそも、猫の問題行動の原因のほとんどは「狩猟本能が満たされていないから」。
猫にとって“狩り”は重要なストレス発散なので、最低でも1日1回は猫と本気の狩りごっこをしてみてください。

実際ストレスが少ない猫さんってあまり爪研ぎしないんですって!
④愛猫の好みに合った爪とぎを選ぶ
「爪とぎ」と言っても、“猫がどのタイミングでどんな姿勢で爪を研ぐのが好きか”によって、素材、形、大きさ、置き場所も変わってきます。

「爪とぎを置いてるけど壁で研ぐ」という場合は、何かが気に入らないのかも。
その「何か」を知らない限り、いくら爪とぎを増やしたってお家をガリガリされるだけですから、色んな爪とぎを試して好きな爪とぎを追求しましょう。
安全な爪とぎ防止スプレーを使用する
オススメはしませんが、どうしても耐えられない場合の最終手段として、猫の嫌がるニオイがする「爪とぎ防止スプレー」というものもあります。
ただ、成分によってはアレルギー反応を起こしてしまうこともあるので、注意してくださいね。
猫が好む爪とぎの特徴とは?
「猫の爪とぎ」には以下3つのこだわりがあります。
- 角度は3パターン
- 爪が食い込む素材
- 安定感がある
好まれる角度と体勢
猫によって違いはありますが、基本的には以下のような好みがあります。
- 縦に立ってのびのび出来るポール型
- 前足を伸ばして座ったまま出来る床置き型
- 斜めで前足に自然な角度がつく傾斜型
性格によって好みが分かれるため、複数のタイプで試してみるのがオススメです。
爪が食い込む素材の重要性
猫は、爪が「ザッ」と食い込む感触を好みます。
これは古い爪をはがすのに必要だからです。
- ダンボール(波系の断面)
- 麻縄(サイザル麻)
- カーペットタイプの布地
安定感のある設置方法
猫は安心して力をかけられる安定感を求めます。
軽くて動く爪とぎは、不安や恐怖を感じて避けるようになります。
実際、安定していない事が、家具や壁で爪をとぐ原因となっていることも多いそうですよ。
- 床置きタイプは重みがあるものが理想
- 縦型やポール型は土台がしっかりしていること
- 壁に固定できるタイプも人気
以上のことから考えると、ソファやベッド、ラグなんかは、猫の「3つの好み」を満たしてるので、研いじゃうんですよね。
ただ、逆に言えば家の中の「⑴どこで、⑵どんなもので、⑶どんな体勢で」研いでるのかさえわかれば、「⑴置き場所、⑵素材、⑶形」を追求するのは簡単なので、愛猫の爪とぎを観察するといいですよ。
実際に猫に選ばれている!おすすめの爪とぎ「カリカリーナ」
猫が好む条件を満たし、多くの猫が夢中になっているのが「カリカリーナ」。
高品質な国産段ボールを使用し、バリバリとしっかり爪がとげて、猫の体に優しいつくりにもなっています。
デザインもおしゃれで、爪とぎとしてはもちろん、くつろぎスペースとしても大活躍。
うちの愛猫そよちゃんもかなり気に入ったみたいで、我が家ではつねに、カリカリーナを2つ置いています。

公式サイトなら、子猫用サイズや、子猫おむかえセット(爪とぎ+おもちゃ・首輪付き)もあります。
カリカリーナについて詳しく知りたい方は、「カリカリーナレビュー記事」をぜひご覧ください。

猫の爪とぎ対策で避けるべき行動
気を付けて欲しいのは、間違った対策をしないことです。

以下の対策はいくら「効果あったよ」と聞いても試さないでくださいね。
①しつけスプレーの使用
イタズラをする猫に対して水を吹きかける、しつけスプレー。
確かにしつけスプレーを使うと猫が逃げるので、効果はあると言えるでしょう。
ただ、「逃げる」ということは「嫌なこと(怖いこと)をされる」と認識しているだけで、「ここで爪を研いじゃいけない」と学んでいるわけではありません。
更には飼い主さんに対して、「この人は嫌なことをしてくる人」と認識し、猫との関係性が悪くなる恐れもあります。
過剰にストレスを感じる子もいます。
「安全な成分ならOK」という方もいますが、猫にとっては不快なのでやめておきましょう。
②【絶対NG】猫の抜爪手術
「家具を守るため」や「爪とぎをされて困っている」・・・そんな理由で、猫の爪を永久に除去する“抜爪手術”をする人がいます。
アメリカでは、猫の飼い主の約2割ほどが愛猫の抜爪手術を受けさせているそうですが、これはしつけでも治療でもありません。
猫にとっては“指を切断される”のと同じ。重大な虐待です。
抜爪手術は「骨ごと」切る
猫の爪は人間の爪と違い、骨にしっかり繋がっています。
そのため、抜爪手術では第一関節から指を切断する必要があります。
つまり、これは“手術”ではなく“切断”。
術後の激痛はもちろんのこと、歩行艱難や行動異常、一生残るストレスと不安、恐怖を与える行為です。
日本では一般的に行われない違法すれすれの行為
日本での抜爪手術は「必要性のある医療行為」に限られていて、しつけ目的で行うことはほぼありません。
国際的な動物愛護団体や、獣医師協会も倫理的に強く反対しています。
爪は猫にとって「生きるための武器・心の支え」である
猫は爪を使って身を守り、登り、遊び、自己主張し、自分の存在を周囲に伝えています。
爪を奪うことは、猫としての尊厳を奪うこと。
大切な家族にそんな苦しみを強いることが、許されていいわけがありません。
③怒鳴る・体罰などの叱り方
猫に対して大きな声で注意したり叩いたりした所で、猫は「なぜ叱られているのか?」を理解できません。
猫の知能は人間の2~3歳程度。怒鳴って叱った所で、猫には伝わるどころか恐怖や不快感、ストレスを与えてしまうだけなのです。
ストレスが増えると、爪とぎが悪化してしまう可能性も高いので、悪循環と言えます。

猫には基本、何があっても怒鳴らないこと。体罰なんてもってのほかです
猫の爪とぎに関するQ&A

では最後に、「猫の爪とぎに関する疑問」についてお答えします。
- Q爪とぎをしつけでやめさせることはできる??
- A
出来ません。猫の爪とぎは本能的な行動なので、完全にやめさせることは不可能です。
正しい対策は、猫が爪をいでいい場所をつくることと、そこに誘導する環境作りになります。
- Q爪とぎをよくする子とあまりしない子の違いは??
- A
性格や環境、健康状態などが考えられます。
爪とぎをよくする猫には、「活発で好奇心旺盛」「ストレスを感じやすい環境」「猫に合った爪とぎがある」といった特徴が。
逆にあまり爪とぎをしない猫には、「おっとりした性格」「ストレスの少ない環境」「定期的に爪切りをしている」「子猫や高齢猫」といった特徴があります。
- Q爪切りと爪とぎ、どっちも必要??
- A
はい。それぞれ役割が違うので両方必要です。
爪とぎは「古い爪の層をはがす、マーキング、ストレス発散」のための行動。
爪切りは「鋭く伸びすぎた爪の先端を安全に保つ」ためのケア。
大気的な爪切りと、自由な爪とぎを両立できるようにしましょう。
【まとめ】猫と心地良く暮らすために「爪とぎ」と上手に向き合おう
猫にとって爪とぎは、とても大切な習慣です。
壁や家具を守りながら、猫が安心して暮らせる環境を整えることで、お互いがストレスなく暮らせるようになります。
ちょっとした工夫と気持ちの余裕があれば、きっと猫の毎日はもっと穏やかで楽しいものになるはず。
愛猫の「したいこと」に寄り添いながら、少しずつおうちのルールを伝えていきましょう!
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